借金の問題
任意整理
自己破産や民事再生と違い裁判所を通さず、弁護士が窓口となり業者と1件1件交渉し、債務を減額したり、分割の支払いで和解したり、過払金を取り戻したりする手続きのことです。
自己破産
簡略に説明すると、収入や資産等に関する資料を揃えて裁判所に提出し、裁判所に借金を0にしてもらう手続きのことです。裁判所に借金を0にしてもらうことを免責といいます。
~自己破産に対する誤解~
自己破産については、言葉のイメージが悪いのか、様々な誤解をしていらっしゃる方が多いです。自己破産に対する誤解から自己破産をして人生を再スタートすべき状況なのにも関わらず自己破産を避けてしまうのは残念なことです。以下に代表的な自己破産に対する誤解を挙げます。
- ①
- 親・兄弟・子ども・妻・夫が借金をかぶることはありません(ただし保証人となっている人は返済しなくてはいけません)。
- ②
- 周り近所・会社にその事実が知られる心配はまずありません。
- ③
- 今までの生活は変わらないことが多いです(家賃を支払っていれば賃貸住宅にも住み続けられる場合がほとんどです。電気・ガス・水道・携帯等は料金を払っていれば今まで通り使用出来ます。生活用品まで失うことはありません)。
- ④
- 戸籍・住民票に破産者の記載がされることはなく、選挙権が取り消されることもありません。
- ⑤
- 運転免許証・パスポートは失効されず、更新も出来ます。
- ⑥
- 貯金通帳は解約する必要はありません(お金を借りている銀行の貯金通帳は、銀行の債権と相殺されて使えなくなります)。
~自己破産による制約~
自己破産は、本来は債務者の財産を債権者に分配する手続きなのですから、価値のある財産を持ち続けたまま破産することはできません。また、事情の如何に関わらず自己破産できるわけではありません。
- ①
- マイホームは手放すことになります。
- ②
- 価値のある財産(20万円以上の価値のある自動車、20万円以上の価値のある生命保険の解約返戻金等)は保有し続けることができないのが原則です。
- ③
- ギャンブルや浪費により借金を増大させたり、過去7年以内に免責を受けたことがある等、免責不許可事由がある場合は管財人の調査を受けたり、免責が下りない場合があります。
- ④
- 信用情報機関のブラックリストに掲載されます(約7年間は借金・クレジットカードの発行は出来ません。)
個人再生
個人の民事再生には、小規模個人再生手続と給与所得者等再生手続がありますが、多く使われるのは小規模個人再生手続ですので、主に小規模個人再生手続について説明します。住宅ローン以外の債務総額を20%程度まで減額して(ただし、最低額は100万円)、原則3年間(5年まで延長可能)で分割して返済し、残りの約80%の借金の返済を免除してもらう手続きです。
~利用できるのは~
- 1
- 将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みのある人、たとえば、サラリーマン、毎月一定程度利益があがっている自営業者、同一勤務先で継続して仕事をしているアルバイトやパート、年金受給者などです。
- 2
- 無担保の債務総額が5000万円以下の人
- 3
- 毎月数万円(金額は借金の総額により異なります。)を返済に回す余裕のある人
- ※
- 1、2、3のすべてを満たすことが必要です。
~住宅資金特別条項とは~
住宅ローンを抱えた個人が住宅ローンを支払って住宅を維持することができる制度です。ただし、住宅ローンの減額・免除を受ける制度ではないので、全額を支払う必要があります。住宅資金特別条項にはいくつかの内容がありますが、実務上今までどおりの支払を続ける「そのまま型」が圧倒的に多いです。「そのまま型」を予定する場合には、住宅ローンの一部弁済許可を受けて再生申立後も支払を継続していくことになります。
過払金請求
~過払金とは~
過払金とは、端的に言えば、金融業者(主に消費者金融業者)に払いすぎたお金のことをいいます。
過払金の説明には、利息制限法と出資法の説明が必要となります。 利息制限法では、貸付額に応じて15~20%の利息の上限が定められています。しかし、利息制限法に定められた利率を超える利息を取っても、出資法に定める上限金利(刑罰金利)である29.2パーセントを超えない限り、刑罰は科されません。
この利息制限法を超え、かつ出資法上の刑罰金利を超えない範囲の利息を、違法であるが刑罰を科されないという意味で、グレーゾーン金利と呼んでいます。ただし、グレーゾーン金利は2006年12月に改正貸金業法が成立し撤廃されました。
消費者金融業者が20%代後半の利率で貸付を行った場合、利息制限法の上限金利を超える利息は、本来無効なのです。
消費者金融業者との間の全取引を、利息制限法の上限金利により再計算すると、7~8年以上の取引で借金はゼロ又は相当額が払いすぎている計算となることが多いです。これが過払金が発生する仕組みです。
~過払金の取り戻し方法~
過払金の有無や金額を確定するためには、利息制限法に基づく引き直し計算をする必要があります。この引き直し計算をするためには、消費者金融業者とのすべての取引を把握する必要があります。しかし、借主がこの取引を再現する資料を紛失していることが多いというのが現状で、業者から取引履歴を取り寄せる必要があります。貸金業者には借主や借主から依頼された弁護士から取引履歴を開示するよう求められた場合これに応じる義務があります。
貸金業者がこの義務に従わず取引履歴を開示しない場合には、開示を粘り強く求めたり、行政処分の申立てをすることもあります。
また、取引履歴の開示が得られても、業者が任意に過払金を支払わない場合や、金額の面で折り合いがつかない場合には、同じく訴訟を提起することになります。